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サルコぺニアと高齢者に多い疾患 栄養指導と運動療法まで

2023.08.14

サルコペニアって聞いたことありますか?

 

サルコペニアの説明図

加齢・病気・運動不足・栄養不足などによる筋肉量の減少のこと。

サルコペニアとは「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で、身体機能障害・生活の質の低下・死のリスクを伴うもの」【2010年EWGSOP定義】とされましたが… 概念は曖昧です。  

 

 

似たような言葉で、フレィルという言葉も。  

 

この二つは概念の境界が曖昧でかぶっている部分もあります。

 

 

フレイルは身体側面にとどまらず、精神心理的・社会的側面を含む広い範囲の概念です。  

 

大切なことは、 2016年 ICD-10にサルコペニアが疾患として初登録されたこと。

 

つまり、近いうちに病名としての診断になるということです。   病院に入院(回復期)している2人に一人・65歳の自立した生活を送っている、10人に1人は現在サルコペニアである、というから驚きです。

 

 

加齢とともに一日1%筋量が減る。

床上安静で一日0.5%筋量が減少する。

 

 

高年者の病気の特徴

 

高齢者の体は加齢により

筋力の低下や関節の不具合、骨密度の低下など様々な不調が引き起こされます。骨粗鬆症脊椎圧迫骨折変形性股関節症などがその代表です。

 

  • 一人で多くの疾患をもっている
  • 個人差が大きい
  • 同じ疾患でも若年者の場合と異なる症状を示す
  • 負荷時に見られる潜在的機能低下がある
  • 慢性の疾患が多い
  • 薬の反応が若者と異なる
  • 疾患が治りにくい

「折茂肇編:老年病研修マニュアル」(Medical View, p.17)改変

 

高齢者に多い4つの骨折とは

1. 大腿骨近位部骨折
太ももの付け根の骨折で、転倒によって起こります。寝たきりになってしまう方も多い。

 

2. 脊椎圧迫骨折
背骨の骨折です。尻もちをつくことで起こることが多いです。骨粗しょう症が進むと、普段の生活動作の中でも起こることがあり、「いつのまにか骨折」と言われるものもあります。

 

3. 上腕骨近位部骨折
腕の付け根の骨折です。転んで肩を直接打ったり、肘や手をついた時に起こります。

 

4. 橈骨遠位端骨折
手首の骨折です。転んで手をついた時によく起こります。

 

なぜ、いくつになっても運動が必要か?

75〜84歳の高齢者の歩く速さと10年後の生存率を調べた最近の研究で、歩くのが速い人は長く生きられることがわかってきました。

歩行速度は筋肉量と関係しているため、筋肉の量が多いほど長生きできることを表しています。

 

つまり、健康でいくつになっても元気でいるために運動が必要ということ。

そのため、筋肉をつけることが大切。でもやみくもに運動してもダメ。

 

筋肉には種類があることを知ってください。老化を防ぐには、同じ筋肉でも速筋という筋肉を刺激しなければならないのです

 

普段の生活では、立ち続けるとか歩き続けるといった、軽い長時間の運動はほとんど。この動きには遅筋が活躍しますしかし日常生活で速筋はあまり使われません。

そして老化の特徴は、この速筋が細くなることなのです。速筋が細くなると、動きが遅く鈍くなり、最後には遅筋まで細くなります。老化というのは速筋が細くなることからです。

サルコぺニアの治療法=栄養指導と運動療法が必要

 

  まだまだサルコペニア治療のエビデンス(研究データ)は少ないが…最新データでは栄養単独では筋肥大はしません。もちろん栄養が足りていないと筋力アップも望めないのです。

 

 

運動は何をすれば良いのか・・・

  起立訓練(立ち上がり運動)は、バランス・筋力・耐久性(持久力)・精神面なの目的で効果があったとの報告がありました。

 

特に認知機能の向上に関しては、抹消の筋収縮が脳に刺激をあたえることがら効果があるのではないかというから興味深いですね…  

 

では、食べ物は何を取ったらよいか・・・タンパク質です。  

まだまだ、研究データは足りないのですが、必須アミノ酸を中心に筋肉量が改善されたとのこと(タンパク質が分解されてアミノ酸になります)。

 

高齢者は若い人の2倍のタンパク質を摂取する必要があるのです。   どうしても、炭水化物中心の食事になりがち。炭水化物はご存知の通り糖質となります。糖質はエネルギー源にもなりますが、やはり抑えたいです。

 

 

運動療法でお勧めなのがピラティス

 

ピラティスのエクササイズでは、「ピンク筋」が作られると言われるのが最大の効果。ピンク筋とは速筋と遅筋の中間の筋肉です。

 

そして、ピラティスは健康な人から高齢者まで負荷量を調整できるという利点があります。

 

ピラティスでは、 素早い動きも大きな動きも必要とする運動もあるので、「速筋」と「遅筋」両方鍛えられます。そして、体幹を使うインナーマッスルと全身運動でのアウターマッスルを使うことができるのです。また、ゆっくりとした動きがまさに「ピンク筋」を鍛えることができるのです。

 

 

      参考資料:「折茂肇編:老年病研修マニュアル」(Medical View, p.17)、「vol33 理学療法」(メディカルプレス )