「歩幅・歩隔」について
歩幅・・・歩いたときにできる前後の幅
身長の37%→普通に歩く
45%~50%→少し早く歩く
歩くときの歩幅の測り方 は「歩幅(cm)=距離(m)÷歩数(歩)」
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年齢別の平均歩幅
男性 60歳代の平均歩幅:61~64cm 70歳代の平均歩幅:54~58cm | 女性 60歳代の平均歩幅:53~54cm 70歳代の平均歩幅:47~50cm |
歩隔・・・横の幅のこと
下図のようにそれぞれの用途で理想的な幅があります。歩隔を大きくすると左右へのバランスは確保できますが、前後へのバランスが取りにくくなります。逆に歩隔をなくすと左右へのバランスが取りにくくなります。
正しい歩き方
正しい歩き方とは、どのような歩き方なのでしょうか。一般的に正しい歩き方は、健常者の歩行を基準としています。しかし、健常者の歩行にも幅があり、一概に正しい歩き方を決めるのは難しいのです。正しい歩き方は自然体の歩き方、効率の良い歩き方と捉えると良いでしょう。
⑥つの歩行訓練をしましょう!!
自然体で効率の良い 3つの特徴
1,適切な歩行リズム
2,エネルギー効率の良い歩行
3,バランスの取れた歩行
①前歩き
前歩きとは、いわゆる日常生活で行っている普通の歩行です。つまり、人間が前に進むために通常行っている歩行をイメージするとよいでしょう。
前歩きの効果
前歩きの効果は、全体的にバランス良く筋力向上させることのできる効果があり、さらに長時間の歩行により疲れにくくなります。
前歩き練習法
前歩きは通常歩行を意識し、より効率的でスムーズ、滑らかな歩行を意識した歩き方に近づけるよう訓練する必要があります。
②横歩き
横歩きとは、横方向に進む横向きの歩き方を示します。カニの歩き方が例に出されることの多い歩き方です。
横歩きの効果
横歩きの効果は、股関節外転筋(中殿筋など)の筋力強化です。
横歩き練習法
基本的には、歩行の中で股関節の外側の筋肉(中殿筋)の強化を意識した横歩きをすると良いでしょう。
ただ横歩きをするだけでは負荷量の調整はできません。より筋肉の強化を目指す場合は、セラバンドを使用することをお勧めします。
横歩きをする際、体幹が前傾位になってしまうと、別の筋肉(大腿筋膜張筋の強化)になってしまうため、正しい姿勢での横歩きが行われているか注意しながら進めること。
③後ろ歩き
後ろ歩きは、後方に向かって歩くことを示します。
つまり、体は前を向いたまま後ろ方向に進むように歩行を言います。
後ろ歩きの効果や使う筋肉、歩行訓練のやり方やポイントについてご紹介します。
後ろ歩き効果
後ろ歩きの関節運動と筋活動を調べた研究によると、前歩きと後ろ歩きの違いは「足関節」にあると報告されています。
特に、足関節背屈可動域がより顕著に大きくなることが示されています。
つまり、後ろ歩きを行うことで足関節背屈のストレッチ効果があると言えるでしょう。
筋肉に関しては、中殿筋、 大腿二頭筋、大腿直筋、内側広筋、前脛骨筋、腓腹筋の筋活動量が増え、歩行が早くなるに連れて筋活動量は増えると報告されています。
このように、後ろ歩きは前歩きよりも非効率であり疲労しやすいといえます。
そのため、前歩きの訓練をするよりも効率的に筋力を発揮できるのです。
後ろ歩き練習法
訓練は、転倒への注意が必要です。
後ろ方向に歩く時、顔を後ろに振り向いていないと安全確認ができません。
不安とリスクを伴う歩き方です!
初めは平行棒内を持って歩き、慣れてきたら平行棒内で棒を持たず歩くなど、段階的に行うと良いでしょう。
日常生活のどんな場面で後ろ歩きは必要でしょうか?
例えば、ドアを引く際には数歩後ろ歩きを行いますよね。
このように、実用的な場面での後ろ歩き練習を取り入れることで、運動のモチベーション向上に繋がります。
④大股歩き
大股歩きとは、歩幅を大きくして大股で歩くことを示します。
大股歩きの効果や使う筋肉、歩行訓練のやり方やポイントについてご紹介します。
大股歩きの効果
大股歩きの効果として、高齢者の意識歩行を調査した研究によると、歩幅を広くすることを意識すると、蹴り出し力が強く働き、下肢の関節可動域が増大し、足腰を鍛えて歩行能力を高めることができると報告しています。
大股歩きによって歩幅を広くすることは、股関節屈筋群の1つである腸腰筋が大きく関係していると報告されています。
大股歩き練習法
大股歩きの歩行訓練は、本人が意識的に行うことが大切です。
初めは大股で歩いていても、徐々に普通の歩幅に戻ってしまうケースは多いです。
そこで、床にテープなどで目印をして、そのテープを超えるように歩いて下さいと声掛けすることで意識を向けることが可能になります。
意識するポイントとしてさらに、「腕を大きく振ること」「踵から接地すること」の2点を指導すると良いでしょう。
⑤縦足歩き
縦足歩きは、「継ぎ足歩行」や「タンデム歩行」とも呼ばれる歩き方です。
片方の足の爪先に、もう片方の足の踵を付け、継いで歩くことを示します。
一本の線の上や、平均台の上を歩く姿をイメージすると分かりやすいと思います。
縦歩きの効果
縦歩きは、歩隔が小さく支持基底面が極端に狭くなり、左右のバランスがとても不安定になるのが特徴です。
ベルグバランステスト(BBS)という歩行バランスを評価する検査の1項目でもあります。
体幹失調など協調性低下によるバランス障害の患者さんが最も苦手とする歩き方です。
逆に考えると、縦歩きにより体幹の強化や協調性改善への効果が期待できると言えます。
筋肉に関して言えば、やはり中枢部の筋力強化、つまり体幹筋や股関節周囲筋、骨盤周囲筋などの強化に役立ちます。
縦歩き練習法
平行棒内を持ってバランスをとりながら歩き、徐々に手の補助を外していくよう段階的に行いましょう。
平行棒内の真ん中にテープを真っ直ぐ貼り、その上を歩くよう声をかけると良いでしょう。
フリーハンドで行う場合は、リスク管理を徹底しましょう。
つま先と踵を付けて継ぎ足の体勢をとるのが難しい場合は、つま先と踵の間を少し開けて歩くとバランスがとりやすくなります。
また、真っすぐに歩くことが難しい場合は、少しだけ左右に足を開いて行います。
⑥ニーヴェンウオーク
膝を曲げて重心を低くした状態で歩くことを示します。
少しコサックダンスに似ています。
ニーヴェンウォークの効果
膝を曲げた状態で歩くので、膝筋力はかなり鍛えられます。
つまり、大腿四頭筋やハムストリングスには最適な歩行です。
下肢全体(特に後ろ側の筋肉:大殿筋、ハムストリングス、下腿三頭筋)を強化できます。
ニーヴェンウォーク練習法
猫背にならず背筋はまっすぐ、膝を曲げて重心を低くし、左右広めに足を開き、つま先を上げて踵から接地し、前進します。
これまでの歩行と比べると、全体的に下肢の筋力が多く必要となる歩き方です。
筋力やバランスを考慮して導入することをお勧めします。