嚥下運動のシステム
①舌で食塊を咽頭に送る
②このとき、軟口蓋と咽頭蓋は食塊が鼻腔と咽頭に入らない様に閉じる
③反射的に食塊は食道に流れる
④食道にきた嚥下物は蠕動運動で胃に運ばれる
嚥下体操
図1:”藤島式”嚥下体操セット
嚥下のリハビリテーション
肩・頸部・胸郭の関節可動域訓練
肩や首、胸郭の動きに制限がある場合は、口腔期の運動や嚥下を妨げます。 筋肉のリラクゼーションを行い、関節の動きを広げるように動かします。
舌・口唇・頬など口腔周囲のマッサージ・運動
食べ物や飲み物を取り込んで咀嚼し、咽頭に送る働きをする舌や唇などの口腔器官の動きと動きに関わる筋肉を働かすために行います。 マッサージを行って硬くなった筋肉を柔らかくしてから、嚥下体操の様に自分で行う運動やリハビリ職が他動的に動かして行う運動、舌圧子などで抵抗を加えて行う運動などを行います。
唾液腺のマッサージ
唾液腺は3か所 舌下腺・顎下腺・耳下腺 あります。力を入れずに軽く圧迫するように行います。 舌下腺→顎先のとがった部分の内側、舌の付け根にあります 顎下腺→あごの骨の内側にあります 耳下腺→耳たぶの内側、うえの奥歯あたりにあります
ブローイング(吹く練習)
鼻から空気が漏れ出る方や、唇を閉じる力・呼吸の力が弱い場合はに吹きだす練習をします。 コップやペットボトルに入れた水をできるだけ長く優しくストローで吹く、巻き笛を拭くなどブローイング(吹く練習)を行います。
頭部挙上訓練
嚥下に必要な喉頭挙上を促すために、舌骨上筋群、喉頭挙上筋群の筋力強化を図ります。仰臥位で足の先を見るように頭を上げます。 一人で行うのが困難な方は介助者が頭を持ち上げて介助で行います。
嚥下反射訓練・嚥下訓練
嚥下反射を促すために唾液を飲み込む練習(空嚥下)を行います。 飲み込みが弱い方には、舌を前に突き出したまま空嚥下をする(舌-突出嚥下法)方法もあります。 凍らせたスポンジで喉を刺激(アイスマッサージ)したり、氷を口に含んだり(氷なめ)などの冷却刺激や、チューブを鼻や口から通す刺激を与えて嚥下反射を誘発することもあります。
プッシング
声帯が閉じにくい場合、動きが良い方の声帯をより内転方向に動かして声門閉鎖をカバーするため、両手を胸の前で押し合うことや、図4に示すように壁や机などを手の平で押すことをしながら強く「あー」、「えい」などと発声します。
メンデルゾーン手技
「ごっくん」をする時に喉頭が十分に上がらない方や、食道の開きが十分でない方に、徒手で喉仏の挙上を保ちながら飲み込む練習をして、喉頭が挙上する感覚の学習を促します。
発音訓練
嚥下と構音を行う器官は同じ。 単語や文章の発声練習を行い、嚥下に必要な器官の運動、筋肉の働きを促します。
パ・タ・カ・ラ 運動
「 パ」「タ」「カ」「ラ」と発音することで、食べるために必要な筋肉をトレーニングします。 パ・・・唇をしっかり閉じて、開くための訓練 タ・・・舌の中央が開く カ・・・舌の奥が働く ラ・・・舌の先が働く
呼吸訓練・咳嗽(がいそう)訓練
誤嚥した時にもしっかり咽られることを促します。腹部が膨らむことを意識しながら深く息を吸い、「えへん」と声を出しながら息を吐き、咳込みを誘導します